風呂敷は幾つもの工程を経て出来上がります
染める色の組み合わせが決まったら、生地の上で狙った色が発色するよう、染料を調合していきます。グラム単位で材料を計量して、混ぜ合わせて調合していきます。画像のように、調合する材料によっては、お鍋で火にかけて混ぜ合わせたりする事もございます。出来上がった染料は、生地と染料を結びつけてくれる、米ぬかで出来た “染めのり”に混ぜ合わせて完成です。
傾斜した台に生地を貼っていきます。ぴったりと、皺が寄らないように台に貼る事も大事なのですが、一番大事なのは “地の目”です。生地の織られている組織がゆらゆらと左右に揺れた状態ですと、仕上がりにも影響しますし、商品にはなりません。地の目が歪まぬように、丁寧に確認しながら貼っていきます。非常に集中力を要する作業です。
いよいよ絵柄を生地に染めていきます。スキージ(掻きベラ)で、染料を生地に置いていきます。途中で止めたりはできません。ムラや染められてない場所を作らないよう一気に染め上げていきます。使用する柄によって色数は違いますが、次の色、次の色と、徐々に絵柄になっていく様はいくら見ても楽しいものであります。
染めが終わった生地は、蒸す事で発色し、そして生地に染料が定着いたします。蒸す日の季節、天候、温度、湿度、そして生地によって、蒸し加減を調整しております。調整する事で、きれいな発色を保ち続ける事ができます。
蒸し上がった生地には、余分な染めのりや不純物が残っております。それらを水槽の中で、丁寧に手洗いで落としていきます。美しい仕上がりの為に、職人さんの長年の勘と経験が頼りの、非常に重要な工程です。
まだまだ完成ではありません。蒸し、水洗と経た生地は、縮んだり、しわになったりしております。生地に蒸気をあてながら、一反、一反丁寧に手で広げて、元々の生地の幅に戻る様、ゆっくりと戻していきます。コツコツとした作業を積み重ね、ようやく生地が完成しました。
風呂敷に仕立てる際、左右は生地の耳をそのまま使用します。天地は風呂敷のサイズに裁断して、両端を縫って風呂敷の完成です。ここでも、上下の端や、角がしっかりと出るように、丁寧に縫います。長年お付き合いさせていただいている、息の合った職人さんにお願いしております。
“たった一枚の布”ですが、色んな工程と多くの方の手を経て、皆様にお届けする“風呂敷”が完成します。実際に風呂敷が出来上がるところを見てみたい、と思われましたら、工場見学も行っておりますので、お気軽にお問い合わせよりご連絡下さい。